1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. ノウハウ
  4. コラム
  5. 女性医師の復職・転職に潜む「夫ブロック」
コラム

女性医師の復職・転職に潜む「夫ブロック」

2017年11月16日

女性医師の転職における夫からの反対にどう対応するか(イメージ)

転職市場の動向をみると、配偶者からの理解をなかなか得られず、思うようなキャリアを歩めない女性医師の姿もうかがえます。パートナーの協力を得る上でのポイントとは-。

女性医師の1割が「配偶者の非協力・無理解」に悩む

日本医師会の『女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書』(2017年8月)によると、「配偶者の非協力・無理解」に悩んでいると回答した女性医師の割合は9.3%。「家事と仕事の両立」(68.3%)などと比べれば数は少ないものの、およそ1割の女性医師が配偶者からの協力をうまく得られず悩んでいるという結果になっています(なお、この調査対象者の配偶者の職業は7割が「医師」)。

女性医師のキャリアの6位は「配偶者の非協力・無理解」
『女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書』より

女性医師の転職現場における夫たちの反対

女性医師の転職現場では、夫の理解が得られないために復職が阻まれたり、転職が取りやめになったりするケースも。もちろん、復職・転職を止められたからと言って、一概に「理解がない」と論じることはできませんが、転職市場では具体的に以下のような理由で転職・復職が反対される事例が起こっています。

女性医師の転職・復職が配偶者によって阻まれる例

・「そんなに働かないで家事に力を入れてほしい」
・「子どもが小さなうちは育児に専念して欲しい」
・「自分より昇進しないで欲しい(特に配偶者が医師の場合)」
・「自分の母親のように家庭を支えて欲しい」
など

上記のような引き止めに特にあいやすいのは、30代で結婚・出産・育児を機に一度退職した若手女性医師など。「専門医を取得して間もなく、『スキルをさらに磨きたい』という強い思いを持っているものの、育児や家庭生活の充実も求められる」といった状況下で、自身のキャリアと家庭生活のバランスに悩むケースなどが該当します。

復職・転職によるメリット・目的を明確に

特に夫婦共に医師の場合は、片方の収入だけでも生計を成り立たせられることもあって、「なぜ復帰したいか」「配偶者の心配事項を取り除くか」を突き詰めていくことが、パートナーの協力を得る上での大きなポイント。

「医師としての目標を叶えるために、今すべきことは何か」「効率化できる家事はないか」「子どもとの時間をどのように確保し、どのように子育てをしていくか」など、話し合う過程で夫婦間の役割分担が見直されることもありますし、子育ての方針や、長期スパンでの人生設計をすり合わせていけば、復職・転職先を探す際の判断軸もだんだんと磨かれていきます。

女性医師を支える先進的な医療機関も

院内保育や時短勤務など、女性医師支援に乗り出す医療機関は増加傾向。ごく一部ではありますが、ベビーシッターの利用料を補助したり、院内に学童施設を整えたりして、さらに踏み込んだ支援策に乗り出している医療機関も出始めています。ただ、単に制度が整っているだけでなく、「実際に利用されているかどうか」「院内でほかに相談に乗ってもらえるような医師がいそうかどうか」など、病院の担当者や紹介会社を通じて実情の部分もよく確認しておくとミスマッチは防ぎやすくなります(関連記事:どう進む?医師の働き方改革 )。

パートナーと人生設計をすり合わせる作業は、時に骨の折れる作業ではありますが、育児・出産を機に改めて自分を見つめなおしたことでその後の人生の展望が開けたという女性医師は多く存在します。長い目で見て夫婦ともに後悔のない選択ができるよう、自分自身や双方の思いにじっくりと向き合うことが大切と言えます。

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。

「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」

当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

この記事の関連キーワード

  1. ノウハウ
  2. コラム

この記事の関連記事

  • コラム

    ガイドラインにない“医師の仕事”実感した日々

    ドクターと医学生の交流を目的とし、将来の選択肢を増やすためのイベント「Doctors’ Style」の代表を務める正木稔子先生。今回は、医師が“命”に寄り添うことについて語ります。

  • コラム

    今だから思う、研修医が報・連・相できない理由

    ドクターと医学生の交流を目的とし、将来の選択肢を増やすためのイベント「Doctors’ Style」の代表を務める正木稔子先生。今回は研修医時代の失敗から学んだことについて語ります。

  • コラム

    「K君死んじゃうの?!」旧友が教えてくれたこと

    ドクターと医学生の交流を目的とし、将来の選択肢を増やすためのイベント「Doctors’ Style」の代表を務める正木稔子先生が、「女性医師だからできない」ことではなく、「女性医師だからできる」ことについて語ります。

  • コラム

    コロナ禍だから振り返りたい「扶氏医戒之略」

    ドクターと医学生の交流を目的とし、将来の選択肢を増やすためのイベント「Doctors’ Style」の代表を務める正木稔子先生が、「女性医師だからできない」ことではなく、「女性医師だからできる」ことについて語ります。

  • コラム

    女医を悩ます「2人目の子」のタイミング―女医の「2人目」問題 vol.2

    当然のことながら、子どもを授かるということはそう簡単なテーマではありません。2人目に限らず、「いつ子どもを出産するか」は、働く女性にとっての永遠のテーマとも言えます。難しい問題ではある一方で、「いつ出産したら、どんなリスクがあるのか」を意識しておくことで、出産・育児がスムーズになる側面もあるでしょう。2人目の出産を悩んだ女医の一人として、2人目の子どもをいつ出産すべきか、読者の皆さんと一緒に考えたいと思います。

  • コラム

    女医に立ち塞がる「2人目の子」の壁―女医の「2人目」問題 Vol.1

    私の親しい女医仲間や女医に限らずとも、仕事を持つ女友達の間では、「2人目どうする?」という話題が顔を合わせるたびに出てきます。自分の身の回りだけでもこれだけありふれているのだから、全国的にみたらかなりの割合で「2人目」について悩んだり考えたりしている女性がいるということではないでしょうか。私自身も1人の子どもを持ち、今すぐではないにしろ、近しい将来2人目も考えている当事者ですので、自分の考えや、周囲の声も織り交ぜながら、読者の皆様と一緒に「2人目問題」についての事柄を整理していければ幸いです。

  • コラム

    どう築く?産後のキャリア―女医のつれづれ手帖(22)

    子供が生まれたことで、医師としての目標と母としての理想の狭間で揺れる方も多いでしょう。復職するのか否か、働き方はどうするのかなど、悩む内容も人それぞれ。今回は、私なりの産後のキャリアプランの描き方についてお話したいと思います。

  • コラム

    不測の事態、どう対応する?職場で子育てを応援してもらうには―女医のつれづれ手帖(21)

    産休・育休明けは、生活リズムの変化や久々の職場復帰など自分自身の負担も大きくなる時期。不測の事態に対応するためにも、家庭や職場からバックアップしてもらえるよう働きかけていく必要があります。今回は、私がどのように育児と仕事の両立をしているか、周囲との関係づくりのポイントも含めお話したいと思います。

  • コラム

    実録! 1歳3カ月の子どもを持つ、女医ママのタイムスケジュール―女医のつれづれ手帖(20)

    ただでさえ多忙な医師が、仕事をしながら子育てをするのは想像がつかない―。そのように考える女性医師は少なからずいるのではないかと思います。実際に働きながら育児をしてみると、工夫次第で何とかなるものです。今回は、1歳3カ月の子どもを持つわたしが、どのようなスケジュールで過ごし、何を重視して仕事と育児に取り組んでいるかをお伝えできればと思います。

  • コラム

    「復職先に求めるもの」、整理できていますか?―女医のつれづれ手帖(19)

    Yu(ゆう)先生インタビュー。復職先に求めるもの=働きやすい環境、この一言に尽きると思います。それを具体的に洗い出し、優先順位を付け、勤務先に伝えられるかどうかが、復職後の働き方を左右するのではないでしょうか。今回は、わたしが復職先に求めたいもの、それをどのように活かして働いているかをお話ししたいと思います。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る