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コラム

女医を悩ます「2人目の子」のタイミング―女医の「2人目」問題 vol.2

2018年9月24日

Yu(ゆう)
当然のことながら、子どもを授かるということはそう簡単なテーマではありません。2人目に限らず、「いつ子どもを出産するか」は、働く女性にとっての永遠のテーマとも言えます。難しい問題ではある一方で、「いつ出産したら、どんなリスクがあるのか」を意識しておくことで、出産・育児がスムーズになる側面もあるでしょう。2人目の出産を悩んだ女医の一人として、2人目の子どもをいつ出産すべきか、読者の皆さんと一緒に考えたいと思います。

出産タイミングを考えるにあたって大切なのは「優先順位」

私自身の実体験、またいろいろな女性医師の意見を集約した結論から言うと、万人に共通する2人目を産む一番のタイミングなんて、「ない」ものだと考えています。

こう言ってしまっては元も子もないのですが、結局、「妊娠したときがタイミング」なのです。仕事・キャリアも一人目の育児も自分の年齢や体調などすべてが完全に整うタイミングなど、おそらく存在しなくて、その人それぞれの優先順位がカギになると思います。
では、それぞれの優先順位とどのように折り合いをつけるか。本稿では、「仕事とキャリアを重視する場合」、「子どもの生育環境を意識する場合」、「ご自身の体調を考慮する場合」「夫をはじめとする育児協力者の状況を意識した場合」で、2人目の出産時期について考察したいと思います。

仕事やキャリアを重視する場合

「仕事やキャリア」を重視する場合、2人目の出産を検討するのは「専門医の取得後」「職場の人員の問題がクリアされたあと」などが挙げられると思います。私の場合は1人目の出産が終わって、子育てと仕事復帰がやっと落ち着いてきたところでもあり、その上転科や産業医などの新たな勉強も増やしているところなので、妊娠してしまったら思うように今のライフスタイルが継続できるのか、確証がない状態です。2人目を考える前にこれらの研さんにも、ある程度の区切りをつけておきたい、と思っています。

子どもの生育環境を意識する場合

次に、子どもの生育環境を意識するケースです。

特に1人目が手のかかる子だったりすると、「2人目を生むにしても、もう少しこの子が大きくなってから…」という気になってしまうものですよね。2人目をもうけた友人や、母などから話を聞くと、「2人目産むなら上の子が話せるようになって、オムツ取れてからのほうがいいよ」とアドバイスを受けたりもします。年の離れた子どもを2人持つことによって、育児期間が長くなるということは意識しておいた方がよいかもしれませんが、仕事とキャリアも抱えている女性にとって、経験者の意見は本当に貴重。積極的に耳を傾け、少しでも育児がスムーズにいってくれる方法を考えることが大切だと思います。

ご自身の体調を考慮する場合

それから、「自分の体調・体力」も重要。1人目の育児でヘロヘロになっている状況で、さらに2人目なんてとてもじゃないけど考えられない!という意見もよく聞きます。ただ、女医の場合、どうしても結婚、出産が遅くなりがちですから、少しでも早く産んでしまいたい!と思ったりもして、常に葛藤している、なんていうことも。

特に1人目の妊娠・出産のときに、つわりがひどかった人や、切迫早産、難産などの経験があると、「2人目のときはどうなってしまうかわからない」と構えてしまうのではないでしょうか。こちらもやはりカギになるのは、経験者の声。女性医師として同じ悩みを持った先輩はたくさんいるはずなので、抱え込まずに相談できるとよいと思います。また、配偶者や周囲が2人目の子どもに前向きなのであれば率直に悩みを打ち明けて、支えてもらえる環境をつくっておけるとよいでしょう。

夫をはじめとする育児協力者の状況を意識した場合

他には、「旦那や実母、保育園確保などの自分以外の育児協力者の都合」も2人目のタイミングに大きく影響してくることでしょう。

実際に私が耳にした事例は、「旦那の仕事がハード過ぎてとても協力を得られず、2人目が産まれてしまったらすべて自分の負担になりかねない」「自分の両親も義両親も遠方なため、いざというときに協力が仰げない」「2人目の子が入る保育園が見つからなさそう…」などなど。自分の努力ではどうにもできないという点で、この協力者問題が実は最も悩ましいかもしれません。男性も育休が取れる時代とはいえ、まだまだですし、職場によっても対応は異なるので、難しい問題です。

私の旦那も、不定休な上、深夜に勤務に出かけてしまうこともあるので、2人以上の幼い子どもを、自分も仕事をしながらお世話しきれるのだろうか?という不安は常に付きまとってきます。幸い、実家は片道1時間以内で行ける距離にあるので、そこが救いですし、実際に1人目の子が急な体調不良で保育園に登園できないときはほとんど実母にお願いしていました。とはいえ、実母にも体力や事情はありますから、状況をよく見ておくことは重要だと思います。

何かが犠牲になる可能性は否定できない。大切なのは優先順位

このように、現在から未来までのどこの時間を切り取っても、何かが犠牲になるのではないか?と恐れてしまい、なかなか2人目を授かる身体的・精神的準備が整えられない、という状況が、「2人目のタイミングがわからない」という悩みにつながるのではないでしょうか。

では、どうやってタイミングを見出すのか。それは前述した通り、「優先順位」をつけるほかに手段はありません。もしくは、どうしてもどれも譲れないのであれば、「期限」を決めてそこを目標に行動することが必要だと思います。

「一旦キャリアは置いておいて周囲の環境が整い次第二人目のことを考えよう」、ですとか、「子どもが〇歳になる〇年〇月までに、仕事を整理して、保育園も探しておこう」実現できるかできないかは別としても、少なくとも、ただ漠然と「1人目も欲しいなぁ。でも時間がないなぁ。仕事もあるしなぁ…」と思うだけで行動できないようでは、そのまま2人目を授かる間もなく歳を重ねてしまいそうに感じます。みなさんはいかがでしょうか?

Yu
ゆう
麻酔科・内科医

医学部卒業後、某医局で麻酔科認定医取得。 30代で国際結婚、1児の母。
現在は麻酔科・内科医として働きながら、 自身の経験を活かした執筆活動も行う。

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